予期しない訪問者からの授かったもの
知り合って15年の友達。松野誠治さん。
楽器業界では一店舗あたりの売上額が日本一のお店「下倉楽器 お茶の水店」で彼はギター売り場を担当していた。
日本一のお店の中で一番売る人。
要するに日本一のセールスマンであった。
店に入って来るお客様の様子をみて、すかさずそのお客様の特徴を読んで積極的に売り込む、ものすごい確率でギターを持ちかえってもらう。
一瞬に人の心理を読むのがうまい。
一度会ったお客様の名前は絶対に覚える。
有名ホテルのカリスマドアマンみたいに。
彼は若い時に3度程長崎から家出をしている。
トラックを乗り継ぎ東京まで。
「東京に出てきて歌手になるんだ!」と夢見て。
たどりつき、飛び込んで始めたバイト先が下倉楽器だった。
なんか、ハキハキしていて行動力もあり、また人の気持ちにぐっと入って来る若者だった。人から言われることなくとも自分で目標を決めてガンガン売り込む。
メーカーからしてみれば、社員じゃなくても売りまくるから社員よりも頼りになる。
楽器屋さんを辞めた後に職を転々としたが、パチプロ時代もあった。
3年間、パチスロだけで食べていた。
それだけじゃないけど、普通の人がやらないきわどい仕事(違法ではありません)もとことんやる。
やってみて「自分の道はこれでは無い」と悟ると違う仕事に方向を変える。
リスクをリスクとも思わない、自分がいいと思った事は取り合えず飛び込む。
飲み屋でママが「あなた不動産に向いてるわよ」と言われ。
いきなり不動産業を始める。
今では練馬の不動産屋の社長をやって家族を養っている。
2月、3月の私の講演を聞きに来てくれた。
まったく関係ない、無縁のアパレル業界の講演に来た彼だが、ちょっと人と違うオーラと真剣な目をしていた。
あるブランドの営業が質問をしてきた。
年配の方に好かれているキャラクターのあるブランドだが、そのキャラクターで子供まで売りたい、市場を広げたいと。
私は無責任かもしれないが「それは私のやり方と違うので、何と答えたらいいかわかりません」
「同じキャラクターで層を広げるのは無理があるので、違うキャラクターでマーケットを分けて集中的に育てた方が良いと思います。」
松野さん、最近知った事だがその頃、この不景気で不動産がまるっきり売れなかったそうだ。
私のその対応を見ていて、自分がターゲットを絞らずに様々な商品、特に大きな物件までがつがつ売り込んでいたそうだが、何かに集中しようと決めたそうだ。
だめだった3カ月間の後は小さな物件を集中的に取り上げて売り込み、今ではかなり回復したそうだ。
彼が言った言葉が「一言で人生が変わる時がある」。
何かの言葉一つで自分の人生が変わる時がある。
自分の今を気づかせられるきっかけとなって、どうあるべきかを考えるそんな一瞬なのだろう。「呼吸するようにお金は入って来る」とも言っていた。
そう、そのものばかり追い求めてばかりいると逃げられる。
そのもの自体を追っかけるのではなく、やるべき事を集中してやっていれば後からお金は付いてくる。
自分も困った時はそう考えるようにしている。
今やるべき事は何なのか…お客さんの満足は何なのか…。
それを一生懸命やっていれば、きっといいことが起こるはず。
教えることは逆に教わることが多い。
他人に教えながら自分でも「本当にそうかな」と思いつつ、確認をしてみる。
結構、初心を忘れてしまっている事も多い。
今日は彼にずいぶんいいことを教わった。
今晩、彼は家族との外食の約束を忘れ、帰る途中で「茂生さんに会わなくちゃ」とふと思ったそうだ。
気がついてみると事務所の前まで来ていた。
「これから行ってもいいですか?」と事務所の前から電話してきた。
何かのお告げなのか、特に用も無いのに…
思ったらすぐ行動に出てしまう彼らしい行動。
少し行き詰っていた自分のところに来て色んな事を教えてくれた。
彼が来て小さい事務所の雰囲気が明るくなった。
同じ様に行き詰った社員も私もやる気が出てきた。
感謝、感謝。
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